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寿命がたった1万年しかない新種の天体
欧州宇宙機関・ESAのX線観測衛星(XMM-Newton)がとらえた星雲(IRAS 00500+6713)内に天体「J005311」があります。 星雲の雲は宇宙の塵やガスから構成されていて、主な成分がネオンガスだそうです。 この「J005311」は非常に速い恒星風(※1)を伴う星で、白色矮星(※2)同士が合体して誕生したと考えられてきました。 しかし星雲全体のX線観測データを収集している中で、主にネオンで構成されている星雲だということを発見。 実は白色矮星同士が合体すると、太陽の1.4倍という質量を超えてla型超新星になるか、それとも崩壊して中性子星になるかのどちらかと考えられてきました。 でもこの星雲はそのどちらでもなく、そのままの状態を保っている新種の天体ということになっています。 ただこの星雲の中にある「J005311」は、非常に不安定な状態で、いずれ1万年以内には崩壊して中性子に落ち着くと予想されているそうです。 新しい命をもらい、たった1万年の寿命とは何ともかわいそうな星ですね。 もしかしたら科学者の予想に反して、さらに寿命を延ばすかもしれません。 いずれにしてもかなり不安定な星には変わりないでしょう。 ※1 恒星風:太陽風と同じように、恒星の表面から噴き出すプラズマの流れのこと。 ※2 白色矮星:太陽の1約.4倍の質量を持ち、恒星の進化過程で、後に赤色巨星となり、いずれ潰れて中性子星となる星 ...
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約131億光年のクエーサーを発見
米・国立電波天文台は観測史上最も最遠の約131億光年彼方にあるクエーサーを発見したと発表しました。 観測はチリ・アルマ望遠鏡、ジェミニ南望遠鏡、マゼラン・バーデ望遠鏡、ハワイ・ジェミニ北望遠鏡そしてケック天文台などで行われたもの。 そのクエーサーは「J0313-1806」との名称が付けられ、中心には太陽質量の約16億倍と見積もられている大質量ブラックホールが存在しています。 ちなみに我々の住む天の川銀河の中心に位置する大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」がありますが、太陽質量の約400万倍ほどです。 これに比べると、かなり巨大なブラックホールだということがわかります。 また明るさもかなり大きく、天の川銀河全体の約1000倍の明るさで輝いているということですから、遠方にあっても観測が可能なんだそうです。 (Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva) このクエーサーは光の速さで約131億年かかって地球に届いているというということは、今から131億年前の姿を見ていることになります。 実は現在この宇宙はができたのはおよそ137〜8億年前と考えられています。 そして今回の発見されたクエーサーについて科学者達は、通常ではあり得ない出現をしていると考えているようです。 それはこの超巨大ブラックホールが約131億年前にできていたということ考えると、宇宙が誕生して約1億年後に太陽の1万倍の質量を持つブラックホールの「種」が必要なんだそう。 しかしブラックホールのメカニズムから想定されるブラックホールがの種が作られることは非常に困難だそうです。 また単純計算しても、このサイズのブラックホールができるまでに超新星の爆発やら合体やらしても、約7億年で作られることは時間が足りないという結果を導き出しました。 ということは別のメカニズムでここまで成長したということしか考えられないということです。 いずれにしてもいろいろな過程を経て大きくなったこのクエーサーですが、このことでもしかしたら宇宙の起源がまた少し分かってきたのかもしれませんね ...
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全自動スマート天体望遠鏡 Vesperaがすごい
すごい天体望遠鏡「Vespera」の発表(CES 2021 Innovation Award:最優秀賞受賞)がありました。 カメラと望遠鏡が一体化となって、全自動で惑星や星などを追尾しがなら撮影まで行いなます。 昔の望遠鏡は、北極星に軸を合わせて、望遠鏡にカメラを設置して追っかける仕組みです。 ちょっと面倒くさいのですが、この製品はGPSを使い、ボタンを押すだけで済みます。 またオートフォーカスシステムで、焦点合わせも自動、観察したいものをスマホアプリから指定すると、その天体を見つけてくれるのです。 ま〜、なんと楽なのでしょう。 すべてが自動で、悩むことなく目的の天体が観られ、そして撮影まで行ってくれる夢のような望遠鏡ですね。 昔から天体観測を行っている方からすると、「苦労があって初めて感動があるんだ」といわれそうですが。 初めてでも簡単に惑星や星団などが観られるので、天体観測を始める方も多くなるかもしれませんね。 ほんと、脱帽のスマート天体望遠鏡です。 Vespaの仕様は口径は50mm、焦点距離は200mm、解像度は1920×1080px、重量5kgでバックパックに入れて持ち運びできます。 現在Vaonisのウェブショップで、予約購入を受け付けているようです。(https://vaonis.com/vespera:1499ドル ...
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無印良品のパン 自主回収
無印良品のパンが自主回収となりました。 アナウンスによりますと、「糖質10g以下のパン 塩バター」の中にカビが発生したと思われる商品が一部見つかったそうです。 どうもパッケージ内に品質保持のためのアルコール噴霧をしていないものがあったとのこと。 これまでに健康被害の申し出はないということです。 回収の対象となっているのは、賞味期限が1月31日の商品で、昨年12月24日〜1月11日まで販売したものということが分かっています。 もしお持ちの方は無印良品の店舗、もしくは着払いで商品を返送すると返金されるとのことです。 見た目分からなくても、食べないで返品した方がいいですね。 詳しくは公式ホームページでご確認ください。(https://ryohin-keikaku.jp/news/2021_0113.html ...
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リュウグウノ水の行方
はやぶさ2がリュウグウに金属弾を撃ち込んだ時に飛び散った内部観測データからリュウグウの水の行方を突き止めたと発表がありました。 この発表をしたのは米・ブラウン大学のラルフ・ミリケン博士らの研究チームです。 発表によりますと、リュウグウに水がなくなったと考えられる可能性として2つあるとのこと。 もともと小惑星はぶつかり合った母天体の破片が集まって作られたと考えられ、その中でリュウグウは有機物や水が豊富に含まれているC型小惑星に分類されていました。 しかし、実際には水が存在していないことが分かっています。 豊富にある水が存在していないと考えられる理由の1つ目は、母天体に何らかの加熱作用があり、失われたという可能性、そしてもう1つは太陽に近い軌道を回っていたために水が蒸発してしまったという可能性です。 ところがはやぶさ2が金属弾をぶつけたときに飛び散った内部物質を近赤外分光計で分析してみると、表面と内部では水の量がほとんど変わらないことが分かりました。 これはリュウグウができあがる前の母天体の段階で水が失われたという可能性が高いことを意味しているんだそうです。 ただ現段階では確定ではなく、可能性の段階で、今後資料の分析が進めばさらなる確証が得られるかもしれません。 本当の楽しみはこれからでしょう。 ワクワクしますね ...
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2021年 火星探査の3つのミッション
火星への探査は2021年もさらに続きます。 今年は火星探査のためのミッションが3つあるようです。 1つ目はNASAの「Perserverance(パーセベランス)」です。 この探査機はNASAとしては5機目となり、2020年7月30日打ち上げられ、今年の2月18日に到着予定。 主なミッションは生命存在の痕跡を見つけることです。 2つ目は中国の火星探査機「天問1号」。 もちろん初の探査機で、今年の4月23日に到着予定です。 オービターとローバーの2台で構成され、13の科学技術ペーロード(積荷)を展開するんだそう。 最後はアラブ首長国連邦(UAE)による火星探査機「ai-Amal」. 別名が「HOPE」で2020年7月20日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、今年の2月に到着予定だそうです。 オービターのみで、火星の周回軌道上を長期間にわたって観測するミッション。 今年もいろいろなミッションが予定されて、楽しみですね。   ...
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宇宙の天気を研究するNASAの新ミッション
宇宙空間には目には見えないさまざまなものが存在しています。 そしてそれが地球に影響を及ぼすとなれば、なおのこと知る必要があるのではないでしょうか? そういった見地からNASAは地球とその空間である宇宙天気について、新たしいミッションを始めます。 1つ目が太陽風や太陽フレア、コロナ質量放出による物理的現象、そして2つ目がオーロラジェット電流です。 この中には通信網と電力系統を妨害することが知られている、あの神秘的なオーロラ(磁気嵐)も入っています。 これがいずれ送電線にある変圧器(トランス)を破壊してしまうのではないかと専門家達は恐れているのだそう。 1つの例でしたが、地球やその周囲の状況を理解し、いち早く手を打つために最先端のミッションにNASAは取り組むんですね。 とてもありがたいことです。 宇宙の天気についてを知る書籍がありますよ。 総説 宇宙天 ...