米・国立電波天文台は観測史上最も最遠の約131億光年彼方にあるクエーサーを発見したと発表しました。
観測はチリ・アルマ望遠鏡、ジェミニ南望遠鏡、マゼラン・バーデ望遠鏡、ハワイ・ジェミニ北望遠鏡そしてケック天文台などで行われたもの。
そのクエーサーは「J0313-1806」との名称が付けられ、中心には太陽質量の約16億倍と見積もられている大質量ブラックホールが存在しています。
ちなみに我々の住む天の川銀河の中心に位置する大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」がありますが、太陽質量の約400万倍ほどです。
これに比べると、かなり巨大なブラックホールだということがわかります。
また明るさもかなり大きく、天の川銀河全体の約1000倍の明るさで輝いているということですから、遠方にあっても観測が可能なんだそうです。
(Credit: NOIRLab/NSF/AURA/J. da Silva)
このクエーサーは光の速さで約131億年かかって地球に届いているというということは、今から131億年前の姿を見ていることになります。
実は現在この宇宙はができたのはおよそ137〜8億年前と考えられています。
そして今回の発見されたクエーサーについて科学者達は、通常ではあり得ない出現をしていると考えているようです。
それはこの超巨大ブラックホールが約131億年前にできていたということ考えると、宇宙が誕生して約1億年後に太陽の1万倍の質量を持つブラックホールの「種」が必要なんだそう。
しかしブラックホールのメカニズムから想定されるブラックホールがの種が作られることは非常に困難だそうです。
また単純計算しても、このサイズのブラックホールができるまでに超新星の爆発やら合体やらしても、約7億年で作られることは時間が足りないという結果を導き出しました。
ということは別のメカニズムでここまで成長したということしか考えられないということです。
いずれにしてもいろいろな過程を経て大きくなったこのクエーサーですが、このことでもしかしたら宇宙の起源がまた少し分かってきたのかもしれませんね。